対テロ戦争と法の支配
昨晩はいつのまにか寝てしまい、起きるとついたままになっていたテレビではアメリカのニュース番組をやっていました。
最近今期の米国連邦最高裁の重要判決が続々と出てきていますが、最も注目を集めているであろう3件についてロースクールの教授が出演して議論をしておりました。その3件とはキューバの米グアンタナモ基地に国際テロ組織アルカイダとの関連容疑などで収容されていている被拘束者が司法救済を求めたのに対し、司法審査が及ぶかどうかが問題となった、Rasul v. Bush、Hamdi v. Rumsfeld、Rumsfeld v. Padilla。
事実については以下を見ていただければ分かる通り。asahi.comの見出しそのままで、司法審査が及ぶとの判断が下されました。
外国人拘束者の異議申し立て権認める 米連邦最高裁(asahi.com)
Court: Terror suspects can challenge detentions(MSNBC)
法律に興味のない人にとってはピンとこないハナシかもしれません。ニュースを見ても、イラクの主権委譲と重なって(少なくとも日本では)あまり大きく扱われていないようです。また、今回の決定は被拘束者の救済を認めるものではなく、司法審査が及ぶかどうかという、その前段階の問題を扱うものです。
しかし、実体的な判断よりもむしろ重要な意義のある判決なのではないかと思います。ニュースでもあちこち引用されているHamdi v. Rumsfeldの多数意見でのオコーナー判事の印象的な一文を見るとまさにそういう感じがします。「米国市民の権利に関しては、戦争状態にあるということは大統領に対する白紙委任にはならない」。
よく見に行っているイェール大学のBalkin教授のblog、Balkinizationでも、この件に関して、「Say it with me now, people: RULE OF LAW」)とコメント。
戦争状態、しかもこれまでの戦争とは全く違うのだとされている対テロ戦争にあっても、「法の支配」という原則は揺るがない。そうしたことを確認したことは今後のアメリカにとっても非常に重要だと思います。
またこの件に関しては、早朝に見ていたニュース番組(一般の人が見るニュース番組にロースクールの教授が出演し非常にリーガリスティックな議論を展開している、という状況)にしてもそうなのですが、あちこちのblogでいろいろと議論がされていたり、そうした文化を個人的には非常にうらやましく感じました。
※それぞれの事件についての判断では各裁判官の特徴が出ていて、じっくり読んで見るのも面白そうです。またACLU v. Ashcroftも話題になりそうですね。