何はともあれ、本当によかったと思います。
しかし、随分と考えさせられた事件でもあったように思います。少し前にちょっとした物語を書いてみました。書いていた時、本当に念頭にあったのは、一番最後にある問いです。物語の少年たちは「悪かった」という結論にストレートに行く気まではなかったのですが、しかし少なくとも、「良いことをするのも難しい」。
「良いことをするのも難しい。」
これは随分控えめな表現ですが、これの悪意に満ちあふれたバージョンが人質の家族に向けられていたようです。インターネット上の言論もそういうもので満ちていたように思います。ぼくも方向としてはかなり共感しつつも、しかし、人の命が関わっている時にそういう物言いをするのはどうか、という感覚が一方ではありました。へんてこな物語の形にして何かを書こうとしたのも、きっとそのせいなのでしょう。
そういうわけで、帰ってきた人質たちがどういう発言をするのかに非常に興味があります。彼らに対する論調がどう変わって行くのかについても。心ない中傷はやはりよくないと思います。でも、ようやく、「涙の力」に負けない冷静な議論ができるようになる、ということではあるのかもしれません。