今学期ゼミで読んでいる本の一つが、Gregory H. Fox and Brad R. Roth (eds.)Democratic Governance and International Law。
中で何度も出てきていたのが国連の選挙監視団の話。以前、どういう流れだったか「アメリカの選挙の方が監視が必要なんじゃないか」というような笑い話になったことがある。これは実はあまり笑えない話でもあったりするのだけれど、とにかくそれ自体はそれほど真剣な文脈の会話ではなかった。
ところが・・・。
2週間ほど前、こんなニュースがあった。
US lawmakers request UN observers for November 2 presidential election(Yahoo! news)
アメリカの下院議員数人が国連に対して、今年の大統領選挙の際に国連が選挙監視団をアメリカに派遣してほしいと要請したという。(このあたりの事情については、「田中宇の国際ニュース解説:国連に選挙監視団の派遣を頼むアメリカ」でも扱われていた。)
さらに昨日Balkinizationを見ていて知ったのだけれど、今度は連邦公務員が国連に公式な選挙監視の要請をすることを禁じる法案が通過したのだそう。(Balkinization : What Corrine Brown Should Have Said)
Balkin教授はこの法案は馬鹿げた考えであるだけでなく、すでにボロボロのアメリカの評判を落とし、傲慢なアメリカのイメージを強めるだけだと嘆いているけれど、全く同感。現実に国連の選挙監視が実現する可能性なんてそもそも薄いところに、あえてそんな立法をするというその感覚というか、センスが不思議でたまらない。
しかし、いろいろ読んでみれば見るほどアメリカの選挙は結構ひどそうだ・・・。多くのアメリカ人からすればきっと「自国の選挙の公正さは世界一」という感覚なのだろうけれど。