アサヒビールから新発売のチューハイ「Dew」のCMが大きな反響を集めている模様。意見を書き込む事ができるAsahi Voice Parkでは「不快だ」「うるさい」という意見が多数寄せられて大変なことになっている。このCMについては某巨大掲示板群でスレッドが多数立っており、騒ぎに便乗して騒いでいるだけの人も多いということではありそうだけれど、これだけの騒ぎになるということはやはりうるさいと思っている人が多いという事なのでしょう。
私は現在テレビが壊れており、見る機会がないので、アサヒビールのCM情報のページで見てみました。CMには及川光博と高木りなが出ている「風呂上り」篇と酒井若菜が出ている「会社帰り」篇の2タイプがあるのだけれど、どちらもようするに大声で商品名を「デューーーーーーーーー!!」と叫ぶというCMだ。
パソコンで視聴する分には音量なんかが分からないので、テレビで見てみない事にはなんともいえない気がするものの、たしかに深夜なんかに突然遭遇したら嫌かもしれない。また、どちらかといえばミッチーの方がうるさい。声が低い分、低周波騒音みたいになってしまっている。正直ここまでよってたかってクレームをつけるレベルなのかは分からないけれど、少なくともあまり品のあるCMではないという印象は受けました。
しかし、それにしてもアサヒビールはどうするのだろう。担当の人が月曜日に出社してきてAsahi Voice Parkの状況をどう収拾するのかは興味があるところ。
というのは、最近では企業のサイトでも自由に掲示板形式で意見を書き込めたり、ブログになっていてコメントやトラックバックを残せたりするものが多くなってきているけれど、果たしてそれが企業にとって本当にいいことなのかどうかというのは、常々よくわからないと思っておりました。消費者からの意見をうまく集めることができるという点では優れているのかもしれないけれど、消費者の方でも(必ずしも好意的なものであるとは限らない)生の反応を共有できることになる。この共有の中から総意のようなものが浮上してくると、これは本当に制御不可能なもので、企業にとってはどう転ぶか分からない。
もちろん、どこかで陰口をたたかれるよりだったらお膝元でやってくれた方が参考になるだろうし、堂々と批判もしてもらってそれも参考にするというくらいのスタンスでいてほしいもの。ただ、中には故のない批判もあるだろうし、それがみんなの目に触れる事によって不必要に事を大きくするということもあるかもしれない。今回のように一度にわっと批判を受けるようなことになった場合、それを真に受けるか受けないかは別として(受けるべきだとは思うが)、双方向な場を用意したばかりに、何らかの応答・対応をする必要が出てくるわけで。
しかし、そこでどう出るかというのはなかなか難しい。個人のサイトですら、何かをきっかけにこうして「炎上」してしまうことがあるけれど、その場合の舵取りというのは非常に難しく、「どう対応しても火に油を注ぐだけ」ということもある。個人サイトの場合は最悪諦めて閉鎖するなり、無視するなり方法はあるだろうけれど、企業サイトの場合はそうもいかない。相当にうまい舵取りが必要となるが、何も考えずにした不用意なコメントが悲劇を生む、という光景はもはや見慣れたもの。
しかし、こんなことは本当にめんどくさいことなわけで。
例えば、ブログを使った例としては東京三菱銀行のBizSTATION ブログなんかはコメントもトラックバックも自由にできる形式だった。時々見に行っていたのだけれど「忌憚なき意見」が寄せられており、「本当にめんどくさそう」というか、もう少しちゃんとした書き方をすれば「気を使いそうだなあ」と思っていた。もちろん、こういう場があって言いたい事があれば客としては好き勝手言わせてもらうけれども、自分がやる方だったら絶対にやりたくない。
というわけで、個人的にはどの企業もそれだけの労力を使ってPRをやるようになってくれれば大変よろしいとは思いつつ、企業側の戦略としてはそこまで労力を費やしてよくしていこうという気がないのであれば、お問い合わせのメールフォームにしておけばいいのに、という話である。「お客様の声を聞いてます」というポーズとか、「なんかブログっていうのがはやってるらしいよ」くらいのノリでやってしまうとろくなことにならない。もちろん、そもそもそんな姿勢の会社なんて・・・という根本的な問題は別にあるし、やる気のあるところにはいろいろと方法が出てきたというポジティブなことではあるわけだけれど。
いずれにせよ、今回のCMの件をどう収拾つけるのかな、というのにはちょっと注目しているところで、案外巧く収めちゃったりしたらその手腕を勉強させていただこうと思っています。