「三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼されたあの伝説の小説がついに刊行!」と本の帯の裏に書いてあったので、どんなだ!?と思いつつ購入し仙台から帰りの新幹線で読んでいたのですが、魂を震撼させられる感じではなかったかな、残念ながら。
ハナシとしては面白く、仙台→東京間の1時間半で消費するエンターテインメントとしては良かったのですが、ただの変な人たちのお話みたいになってしまっており。読んでいる最中は割とのめり込める感じだったのですが、よくよく考えてみるとなんだかなという感じです。人間って時々ほんとうにあり得ないけれど、そこまで単純ではないでしょ、という印象がどうしてもしてしまって。天才的な才能の表出というよりは、計算づくで注意深く構築された物語のような感じがしたので、そのあたりが少々不満です。
アマゾンのレビューでは文章についていろいろと書かれていましたが、文章自体は割と好みの感じでした。ごにょごにょと描写がやたらと丁寧なのですが、そこを構わずだだーっと読んでいくと逆にスピード感が生まれて心地よい。それでいて情報量も多いので、イメージもわく。あまり「読書家」ではないのでそういう受け取り方になるのかもしれないですが、自分としてはそういう感じでした。