お弁当やさんチェーン「ほっかほっか亭」については前から不思議に思うことがよくあったのですが、ニュースをみていたらプレナスがほっかほっか亭総本部を提訴したというニュースがでておりました。
SANSPO.COM>ほっかほっか亭で商標争い−プレナスが総本部を提訴
「ほっかほっか亭」というお店は、一般にはひとつの会社なのだと思われていそうですが、実は違います。各地域ごとに運営会社が違っていて、お弁当のメニューも場所によって別々。運営会社として大きいものとしては、九州・山口、東日本担当のプレナスと、西日本担当のハークスレイがあります。ともに東証一部上場の会社です。(余談ですが、両方とも割と高配当なのでマネー系雑誌なんかでちらほら名前を見かけます)
…と、これくらいは知っていて、前からなんでこうなっているのだろうと思っていたのですが、実はもっといろいろあったようです。Wikipediaの記事によると、1978年4月に「株式会社ほっかほっか亭」が設立されているのですが、1981年7月には別に「株式会社ほっかほっか亭総本部」が設立されたのこと。そして、サンスポの記事によれば後者の「ほっかほっか亭総本部」は全国のフランチャイズ店の元締をやっていたようです。前者の「株式会社ほっかほっか亭」についてはよく分からないのですが、記事を素直に読むと、きっと「直営」というか、お弁当屋さんをやっていたのでしょう。
ここまでは、直営とフランチャイズ運営会社が別々の会社になっていたというだけで、それなりにある話なのかもしれないですが、ややこしくなったのはたぶんその先なんでしょう。wikipediaをみると、2004年に株式会社プレナスが株式会社ほっかほっか亭を吸収合併、2006年には株式会社ハークスレイが株式会社ほっかほっか亭総本部を子会社化しています。要するに元々のお弁当屋さんが九州展開のプレナスの、フランチャイズの元締めが関西展開のハークスレイの子会社になったわけです(ややこしいけどたぶんあってると思う)。もっとも、今年3月にハークスレイがほっかほっか亭総本部を子会社化した際のハークスレイのIR(参照)を見ると、ほっかほっか亭総本部の株式に関しては、元々ある時点でプレナスが44.44%取得していたようで、そこにハークスレイがほっかほっか亭の創業者から新規に54.17%取得した、という構図のようです。
そして、プレナスが総本部を商標権侵害で訴えた、というのが今回のニュース。総本部に対して使用料を支払わないという話かと思ったら、総本部は商標権を支払え、ということのようです。プレナスのIRは「当社は、弁当等を指定商品とする、「ほっかほっか亭」の商標権を保有しております」という一文で始まっていて、その経緯については触れていないのですが、記事では「ダイエーからほっかほっか亭を取得する際、弁当販売に関する商標権も一緒に獲得した」という点がプレナスの主張として挙げてあります。
ただ、プレナスの平成19年2月期中間決算短信(参照)を見てみると「事業等のリスク」の項目で、
当社グループの主たる事業である「ほっかほっか亭関連事業」は、当社と(株)ほっかほっか亭総本部との間で締結された「ほっかほっか亭地域本部契約」に基づき運営しておりますが、万が一、契約更新に支障をきたした場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性かがあります。というふうに書いてあり、プレナス自身、商標権を有しているどころか(株)ほっかほっか亭総本部との間で締結されたフランチャイズ契約の元で営業してきたと認めているようにも読めてしまいます。
なんだか不思議なんですが、プレナスの主張に戻るならば、そもそも商標権について「ほっかほっか亭」と「ほっかほっか亭総本部」との間でどのような関係になっていたか、がポイントなのでしょう。こうした問題は、そもそも「ほっかほっか亭」と「ほっかほっか亭総本部」が連携している状態では起き得なかった問題でしょうが、そういう意味では今回の件はほっかほっか亭総本部がハークスレイの子会社となったことと関係しているんでしょうかね。
と、ニュースが気になったので、若干調べてみたらこんな感じでした。ほっかほっか亭の関係者でもなんでもないので、的外れな部分もあるかもしれません。不思議なところのあるニュースを見かけるとどうしても気になってしまい、ついつい調べてしまいます。調べるだけだともったいないので、ブログにメモ。
[追加]「ほっかほっか亭」の商標権めぐり、内輪で訴訟(asahi.com)によると、
ほっかほっか亭の創業者は78年に弁当店を法人化する一方、81年にFC店を統括する別会社として総本部を設立したが、商標権の名義はもとの会社に残したままだった。というわけで、やはり当初の「ほっかほっか亭」と「ほっかほっか亭総本部」の段階で「ほっかほっか亭」の名義になっていたとのこと。さて、どうなるんでしょうね。
コメント (1)
何だか複雑な事になってたんですね,ほっかほか亭は。
昔,会社法関係(多分「法人格否認の法理」)の判例を読んだ時,都合よく会社を作ったり解散したりしてる当事者の会社名が「株式会社○○商店」(いわゆる前株)だったり「○○商店株式会社」(後株)だったりして,頭がウニになったのを思い出しますた。
本文の記事から察するに,創業者が「ほっかほか亭」とは別に「ほっかほか亭総本部」の株を切り売りしたのが,混乱の元凶のような気もしてきました。
Posted by: ほせ | 2006年12月21日 00:42
日時: : 2006年12月21日 00:42